トイレを借りると《不義密通》の罪?!
人間、何が原因で命を落とすかわからないものです。
佐賀鍋島藩のある侍が城下町を歩いていると、急に腹痛にみまわれた。
近くの家に駆け込み「ゴメン、急にゲリピーになっちゃった、
ちょっとトイレを貸してくんない」と侍言葉で言った。
「許せよ、拙者不意の腹痛故、暫時厠を借用したい」てな調子。
「いいわよ、汚くしてるけど、どうぞ」と、お内儀。
「ウム、かたじけない」
袴を脱ぎ捨て脱兎の如く奥のトイレに一目散。
やがて、スッキリとした顔で戻ってきた侍。
と、マァここまではなんでもない話なのですが、そのあとがマズかった。
間の悪い時はしょうがないもので、そこへ亭主が帰ってきた。
若いお内儀の傍に脱ぎ捨てられた袴、下半身をモゾモゾやっている侍。
この情景をみて
「この二人は徳川幕府の行く末について話合っているんだべか」
などと考えるノンキな亭主はいない。
亭主は女房と侍を、おおそれながら、と訴えた。
訴えを受けた藩当局が二人を取り調べて下した判決は、
「女の前で無遠慮に袴を脱いだ侍、それを許した女、両名とも
不義密通同様の振る舞いである」
「ンな、ムチャな」
「あたしゃ、親切で貸したんだヨ」
二人の申し開きは受け容れられず、
トイレを借りた侍は切腹、トイレを貸した女も哀れ死罪となってしまった。
かの鍋島藩士、山本常朝“武士道とは死ぬこととみつけたり”の
名著『葉隠』にある実話である。
みなさ~ん、トイレを借りるときは気をつけましょうね!
2013-12-23 10:11
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